事故歴多数
悪夢のトヨタ2000GTを職人の意地で完全再生する
Old-timer No83(August 2005)に掲載
恐怖の左右非対称車
このクルマは少なく見積もっても、3回は派手な事故から
復活している。事故車といってもきちんと修復されていれば
問題はないのだが、フレームが曲がるほどの大事故を起こした
にもかかわらず、ろくに修正されていなかったクルマである。
困ってしまうのが、以前の修理が中途半端ということ。曲がったり
場所によっては折れているインナーパーツの上に、強引にアウター
パネルが乗っかっている。
こうなると、歪みを取るためにフレーム修正機をかけるのも難しいし、
しかも取り付けるために寸法をつめたり、伸ばしたりといった
帳尻合わせもされていて、これをひとつひとつ元に戻していかなければ
ならない。
これがハコスカGT−Rだったら、潔く部品取りにしていしまうべき
コンディションだ。GTのハコスカならまだたくさんあくるから、
使える部品を移植したほうが安くすむ。だがトヨタ2000GTには、
残念なことに移植して使えるようなクルマは存在しない。
取材のために工場を訪れると八武崎名人はいきなり『戦艦大和の心境
ですよ』という。それもしかたない。普通の人ならパテを剥いた段階で
沈没している。『もはや手遅れ』と、一度はがしたパテをふたたび
盛り直すのが関の山ではないだろうか。
--(雑誌より抜粋)--
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